この記事は、金融先物取引業協会などの公開情報をもとに編集部がまとめた一般的な説明です。広告は含みません。情報は2026年10月30日に確認したものです。
- 損失が広がりすぎる前に自動で決済するしくみ個人とFX取引をする会社には、ロスカット・ルールを整備し、守ることが義務づけられています(2010年2月から)。
- 目安は「証拠金維持率」有効証拠金÷必要証拠金で計算します。何%でロスカットになるかは会社ごとにちがいます。
- 預けたお金より損をすることもある相場が急に動くと、ロスカットが間に合わず、口座のお金がマイナス(不足金)になることがあります。
FXで損失が大きくなると、自分で決済しなくても、ポジションが自動で決済されることがあります。これがロスカットです。ロスカットは、損失がそれ以上ふくらまないようにするための大切なしくみです。
この記事では、ロスカットの目安になる証拠金維持率の計算と、ロスカットを避ける考え方を説明します。レバレッジのしくみはFXのレバレッジとはで説明しています。
ロスカットは法律で決められたルール
金融先物取引業協会によると、2010年2月1日から、個人のお客さんとFX取引を行うすべてのFX取扱業者に、ロスカット・ルールを整備し、守ることが義務づけられました。
ロスカットは、お客さんの損失を一定の範囲にとどめるための安全装置です。一方で、自分の判断とは関係なく、損失が確定してしまうことでもあります。どんなときにロスカットになるのかを、取引の前に知っておきましょう。
ロスカットに関わる3つの言葉
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 必要証拠金 | ポジションを持つために最低限必要なお金。個人は取引金額の4%以上 |
| 有効証拠金 | 口座のお金に、まだ決済していないポジションの損益(含み損益)を足し引きした金額 |
| 証拠金維持率 | 必要証拠金に対して、有効証拠金がどのくらいあるかの割合 |
証拠金維持率(%)= 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100
含み損がふえると有効証拠金がへり、証拠金維持率が下がります。
証拠金維持率の計算例
ここでは、口座に20万円を入れて、米ドル/円を150円で1万通貨買った場合を考えます。必要証拠金は、150円×1万通貨×4%=6万円です。
| レート | 含み損益 | 有効証拠金 | 証拠金維持率 |
|---|---|---|---|
| 150円(買ったとき) | 0円 | 20万円 | 約333% |
| 142円(8円下落) | -8万円 | 12万円 | 200% |
| 136円(14円下落) | -14万円 | 6万円 | 100% |
※計算を簡単にするため、レートが動いても必要証拠金は変わらないものとし、スプレッドやスワップポイントは考えていません。
もし「証拠金維持率100%でロスカット」というルールの会社なら、この例では136円付近でロスカットになります。50%など、もっと低い水準でロスカットになる会社もあります。ロスカットの水準は会社ごとに決められているので、口座を開く前に確認しましょう。
ロスカットまでの値幅を計算する
ポジションを持つ前に、どこまで逆に動いたらロスカットになるかを計算しておくと、取引の量を決めやすくなります。ロスカットの水準が「証拠金維持率100%」の場合、次の式で目安がわかります。
耐えられる損失 = 有効証拠金 - 必要証拠金
ロスカットまでの値幅(円)= 耐えられる損失 ÷ 取引数量
| 口座のお金20万円・150円で買う場合 | 必要証拠金 | 耐えられる損失 | ロスカットまでの値幅 |
|---|---|---|---|
| 1万通貨 | 6万円 | 14万円 | 約14円 |
| 2万通貨 | 12万円 | 8万円 | 約4円 |
| 3万通貨 | 18万円 | 2万円 | 約0.67円 |
同じ20万円でも、取引の量を3倍にすると、ロスカットまでの値幅は約14円から1円未満まで小さくなります。取引の量を決めるときは、利益より先に「どこまで耐えられるか」を計算することが大切です。
アラート・マージンコールとのちがい
多くのFX会社では、ロスカットの前に、証拠金維持率が下がったことを知らせるしくみがあります。名前や水準、何が起きるかは会社によってちがいます。
| しくみ | よくある内容 |
|---|---|
| アラート(警告) | 証拠金維持率が一定の水準を下回ったことを、メールやアプリで知らせる |
| マージンコール・追証 | 証拠金を追加で入れるか、ポジションを減らすように求められる。期限までに対応しないと決済される会社もある |
| ロスカット | 決められた水準を下回ったときに、ポジションを自動で決済する |
※あくまで一般的な例です。実際の名前・水準・ルールは各社の取引説明書で確認してください。
ロスカットが間に合わないとき
ロスカットは、決められた水準で決済しようとするしくみです。しかし、次のようなときは、決められた水準よりも不利なレートで決済されることがあります。
- 重要な経済指標の発表や、大きなニュースで相場が急に動いたとき
- 週明けに、金曜日の終わりのレートから大きく離れて取引が始まったとき(窓開け)
- 取引する人が少ない時間帯で、レートが飛びやすいとき
決済したレートが大きく不利だと、損失が口座のお金を上回り、口座がマイナス(不足金)になることがあります。不足金は、あとで入金して支払う必要があります。ロスカットがあるからといって、損失が預けたお金の範囲に必ずおさまるわけではありません。
ロスカットを避けるための考え方
- 実効レバレッジを低くする口座のお金に対して取引の量を小さくすると、証拠金維持率が高くなり、ロスカットまでの値幅が大きくなります。
- 自分で損切りの注文を入れるロスカットより手前で、逆指値などの注文を入れておくと、損失の大きさを自分で決められます。
- 通知を受け取れるようにするアラートのメールやアプリの通知をオンにして、維持率が下がったらすぐ気づけるようにします。
- 指標発表や週末前に気をつける値動きが大きくなりそうなときは、ポジションを小さくすることも考えます。
注文の種類(指値・逆指値・OCOなど)はFX用語集で説明しています。ロスカットの水準や取引の単位は会社によってちがうので、FX口座の選び方も参考にしてください。
よくある質問
ロスカットされたポジションはどうなりますか?
入金すればロスカットを避けられますか?
ロスカットと損切りはどうちがいますか?
ポジションを複数持っているとき、ロスカットはどうなりますか?
スワップポイントの支払いでもロスカットになりますか?
ロスカットの水準は自分で選べますか?
まとめ
- ロスカットは、損失が広がりすぎる前に自動で決済するしくみで、2010年2月から義務になった
- 目安は証拠金維持率=有効証拠金÷必要証拠金×100
- 何%でロスカットになるか、アラートや追証のルールは会社ごとにちがう
- 急な値動きでは間に合わず、不足金が出ることもある
- 実効レバレッジを低くし、自分で損切りの注文を入れておく
FXの全体の流れはFXの始め方で確認できます。
出典・参考にした情報
- 一般社団法人 金融先物取引業協会「FX取引の規制について」(ロスカット・ルールの整備・遵守の義務付け、証拠金規制)
- 2026年10月30日確認
【ご注意】FXは元本が保証されない取引で、為替レートや金利の変動によって損失が出ることがあります。レバレッジをかけるため、預けた証拠金より大きな損失が出る可能性もあります。この記事はしくみの説明で、特定の取引や会社をすすめるものではありません。取引の前に、各社の契約締結前交付書面などで内容を確認してください。

