この記事は、国税庁・金融庁などの公開情報をもとに編集部がまとめた一般的な説明です。広告は含みません。情報は2026年10月30日に確認したものです。
- いまは原則「雑所得」で総合課税給与などとあわせて計算するので、所得が多いほど税率が高くなります。損失はほかの所得と相殺できません。
- 売ったときだけでなく、交換や買い物でも税金がかかる暗号資産で別の暗号資産を買ったときや、商品の支払いに使ったときも、利益が出ていれば所得になります。
- 分離課税(20.315%)への見直しが決まったただし始まるのは、法改正の施行日の翌年1月1日以後の取引からで、開始年は2026年10月30日時点で決まっていません。
暗号資産で利益が出たときの税金は、株やFXとはちがうしくみで計算します。また、2026年に税制の見直しが決まり、これからルールが変わる予定です。
この記事では、いまのルールと、これからの見直しを分けて説明します。暗号資産そのもののしくみは暗号資産とはでまとめています。
暗号資産の利益は原則「雑所得」
国税庁は、暗号資産を売ったり使ったりして生じた利益は、事業所得などの基になる行為に付随して生じる場合を除き、原則として雑所得になるとしています。
- 雑所得は、給与などのほかの所得とあわせて税金を計算する総合課税です
- 所得税の税率は所得が多いほど高くなる累進税率で、住民税(10%)もかかります
- 雑所得の損失は、給与所得などほかの所得と相殺(損益通算)できません
※出典:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について」、タックスアンサー No.1524(2026年10月30日確認)
税金がかかる場面
| 場面 | 税金のあつかい |
|---|---|
| 暗号資産を円に売った | 売った金額と、取得にかかった金額の差が所得になる |
| 暗号資産で別の暗号資産を買った | 手放した暗号資産を、そのときの価格で売ったのと同じように考える |
| 暗号資産で商品やサービスの代金を払った | 支払いに使った暗号資産を、そのときの価格で売ったのと同じように考える |
| 買っただけで持っている | 売ったり使ったりするまでは、所得にならない |
「円にもどしていないから税金はかからない」と考えがちですが、暗号資産どうしの交換や買い物での利用でも、利益が出ていれば所得になります。取引の記録は必ず残しておきましょう。
所得の計算と取得価額の決め方
所得 = 売った(使った)金額 - 取得価額 - 手数料などの必要経費
同じ暗号資産を何回かに分けて買った場合、1単位あたりの取得価額を計算する方法として、個人は総平均法と移動平均法のどちらかを選べます。税務署に届け出をしなければ、総平均法で計算します(国税庁「A1-20 所得税の暗号資産の評価方法の届出手続」)。
| 方法 | 考え方 |
|---|---|
| 総平均法 | 1年間に買った分の合計金額を、合計の数量で割って、1単位あたりの取得価額を出す |
| 移動平均法 | 買うたびに、それまでに持っている分とあわせて平均の取得価額を計算しなおす |
総平均法の計算例(その年に買い始めた場合)
| 取引 | 内容 | 金額 |
|---|---|---|
| 1回目に買う | 10単位×1,000円 | 10,000円 |
| 2回目に買う | 10単位×2,000円 | 20,000円 |
| 1単位の取得価額 | 30,000円÷20単位 | 1,500円 |
| 15単位を2,500円で売る | 売った金額 37,500円 - 取得価額 22,500円 | 所得 15,000円 |
※手数料は考えていない例です。国税庁は計算に使える「暗号資産の計算書」も公開しています。
取引の記録の残し方
暗号資産の所得は、自分で計算して申告するのが基本です。あとで計算できるように、次のような記録を残しておきましょう。
- 業者の年間取引報告書:国内の登録業者は、1年分の取引をまとめた報告書を出していることが多いです。会員ページからダウンロードできるか確認しましょう
- 取引の履歴:いつ・何を・どれだけ・いくらで売買したか。複数の業者を使っている場合は、すべての業者の分が必要です
- 暗号資産どうしの交換や、支払いに使った記録:そのときの価格(円での金額)がわかるようにしておきます
- 手数料の記録:必要経費として差し引ける場合があります
業者の間で暗号資産を送った場合や、自分のウォレットに移した場合も、どの取引が同じ資産なのかがわかるように記録しておくと、取得価額の計算がしやすくなります。国税庁が公開している「暗号資産の計算書」を使うと、総平均法での計算をまとめられます。
確定申告が必要になる目安
給与を1か所から受けて年末調整を受けている会社員は、暗号資産の利益や副業などの給与以外の所得の合計が年20万円をこえると確定申告が必要です(国税庁 No.1900)。
- 20万円以下でも、住民税の申告は必要です
- 医療費控除やふるさと納税などで確定申告をするときは、20万円以下でも暗号資産の所得を一緒に申告します
- 令和8年(2026年)分の確定申告は、令和9年2月16日〜3月15日です
申告の手順は確定申告のやり方(スマホとe-Tax)、20万円のルールは副業の税金の基本でくわしく説明しています。
分離課税への見直し(2026年に決定)
2026年の税制改正で、暗号資産の課税を見直すことが決まりました。税理士法人などの解説によると、ポイントは次のとおりです。
| 項目 | いま(2026年10月時点) | 見直し後 |
|---|---|---|
| 課税のしかた | 雑所得・総合課税 | 申告分離課税 |
| 税率 | 所得に応じて変わる(累進税率) | 20.315%(所得税15%・住民税5%と復興特別所得税) |
| 損失 | ほかの所得と相殺できず、くり越しもできない | 一定の要件のもとで3年間くり越せる |
| 対象 | すべての暗号資産 | 登録業者を通じた「特定暗号資産」の取引など |
見直し後のルールが使えるのは、暗号資産を金融商品取引法で扱うための改正法(2026年7月15日成立)の施行日の、翌年1月1日以後の取引からとされています。施行日は政令で決まるため、2026年10月30日時点では、何年から始まるかは決まっていません。それまでの取引は、いまのルール(雑所得・総合課税)で申告します。
対象になる暗号資産や取引の範囲、損失のくり越しの細かい要件は、今後の政令や国税庁の案内で確認が必要です。見直し前の損失を、新しいルールにくり越せるとは限りません。
よくある質問
暗号資産の損失は、給与と相殺できますか?
複数の業者を使っています。計算はどうなりますか?
暗号資産をもらったときも税金はかかりますか?
分離課税が始まるまで売らないほうがいいですか?
まとめ
- 暗号資産の利益は、いまは原則として雑所得で総合課税
- 円への売却だけでなく、暗号資産どうしの交換や買い物での利用も所得になる
- 取得価額は総平均法か移動平均法。届け出がなければ総平均法
- 会社員は給与以外の所得が年20万円をこえると確定申告
- 20.315%の分離課税への見直しが決定。始まるのは改正法の施行日の翌年1月1日以後で、開始年は未定
出典・参考にした情報
- 国税庁 タックスアンサー No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和7年12月)」
- 国税庁「A1-20 所得税の暗号資産の評価方法の届出手続」
- 国税庁 タックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人、No.2020 確定申告
- 金融庁「国会提出法案」(金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案。令和8年7月15日成立)
- 税理士法人山田&パートナーズ「令和8年度税制改正:暗号資産の分離課税」の解説
- いずれも2026年10月30日確認
【ご注意】一般的な説明で、個別の税務相談ではありません。税金のあつかいは、取引の内容や法改正によって変わります。とくに分離課税の開始時期や対象は、今後の政令・国税庁の案内で確認してください。暗号資産は価格の変動によって損失が出ることがあります。この記事は特定の取引をすすめるものではありません。

