この記事に広告は含みません。内容は厚生労働省・日本年金機構の公式発表をもとに編集部がまとめたものです。情報は2026年11月8日に確認したものです。
- 「月8.8万円以上」の要件が10月1日に撤廃パート・アルバイトが健康保険・厚生年金保険に入る要件のうち、賃金の要件(いわゆる106万円の壁)がなくなりました。
- 残る目安は「週20時間以上」と勤め先の規模今は、従業員数51人以上の企業で、週の所定労働時間が20時間以上・学生ではない人などが加入の対象です。勤め先の規模の要件は2027年10月から段階的に広がります。
- 保険料の負担を軽くする「保険料調整制度」も開始新たに対象となる事業所が利用でき、標準報酬月額12.6万円以下の人の保険料負担を通算3年間軽減できます。
何が変わった?
日本年金機構は、令和7年年金制度改正法(令和7年法律第74号)に基づき、短時間労働者が社会保険(健康保険・厚生年金保険)に入る要件のうち、賃金要件(所定内賃金が月額8.8万円以上)を2026(令和8)年10月1日に撤廃したと案内しています。
| 要件 | 2026年9月まで | 2026年10月1日から |
|---|---|---|
| 賃金 | 所定内賃金が月額8.8万円以上 | 撤廃 |
| 労働時間 | 週の所定労働時間が20時間以上 | 変わらず |
| 勤め先の規模 | 従業員数51人以上の企業 | 変わらず2027年10月から段階的に拡大 |
| 学生 | 学生ではないこと | 変わらず |
日本年金機構は同じ10月1日、「ねんきんチャットボット」で賃金要件の撤廃と保険料調整制度の案内を始めました(サイト右上の「チャットボット」から利用)。
※出典:日本年金機構「2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました」「…「保険料調整制度」および「賃金要件の撤廃」を案内するチャットボットを開設しました」(いずれも2026年10月1日更新)(2026年11月8日確認)
だれに関係する?
厚生労働省の特設サイトでは、次の要件をすべて満たすパート・アルバイトなどが加入の対象とされています。
- 勤め先の規模:従業員数(厚生年金保険の被保険者数)51人以上(2027年9月まで)
- 週の所定労働時間が20時間以上:就業規則や雇用契約書に書かれた、通常の週の労働時間です。残業は原則含みません。
- 学生ではない:定時制・通信制、休学中の人などは対象になります。
- 2か月を超えて雇用される見込みがある
なお、労働時間・労働日数がフルタイムの4分の3以上の人は、もともと社会保険の対象です。従業員数50人以下の勤め先でも、労使の合意に基づく申出(任意特定適用事業所)でパートの人が加入できる場合があります。
例外として、最低賃金の減額の特例許可を受けていて所定内賃金が月額8.8万円未満の人(特定減額特例対象者)は、原則として加入の対象外です。本人が申し出れば加入でき、その場合の保険料は労使折半です。
勤め先の規模の要件は段階的に広がる
| 時期 | 新たに対象になる企業(従業員数) |
|---|---|
| 2027年10月から | 36〜50人 |
| 2029年10月から | 21〜35人 |
| 2032年10月から | 11〜20人 |
| 2035年10月から | 10人以下 |
※出典:厚生労働省「社会保険適用拡大 特設サイト」、日本年金機構のリーフレット(賃金要件の撤廃と特定減額特例対象者)(2026年11月8日確認)
保険料調整制度とは
新たに社会保険の対象になるパートの人が働く時間を調整せずに働けるよう、事業主が保険料の一部を一時的に追加で負担し、本人の負担を通算3年間軽くできる制度です。2026年10月から始まりました。
- 使える事業所:2026年10月1日以降に任意特定適用事業所になった事業所や、2027年10月以降の適用拡大で新たに対象になった事業所など。2026年10月1日時点ですでに対象(従業員数51人以上など)だった事業所は使えません。
- 対象になる人:短時間労働者として加入し、標準報酬月額が12.6万円以下の人。事業所単位で決まるため、一部の人だけ選んで使うことはできません。
- 軽くなる割合:1〜2年目は標準報酬月額8.8万円以下で25%、12.6万円で2%など。3年目はその半分です。賞与にかかる保険料、介護保険料などは対象外です。
- 年金額への影響:保険料が軽くなっても、将来受け取る年金額は減らないとされています。
制度を使うかどうかは事業主が決め、事業主が期限内に「保険料調整開始申出書」を出す必要があります。働く人が自分で申し込む制度ではありません。
※出典:日本年金機構「保険料調整制度のご案内」と関連ページ(対象となる事業所・被保険者、保険料額の計算方法)(2026年11月8日確認)
何をすればいいか
- 勤め先が対象かを確かめる日本年金機構の「事業所検索システム」で、勤め先の「適用拡大の事業所」欄に「該当」と出るかを見られます。
- 雇用契約書で週の所定労働時間を見る年収ではなく、契約上の週の労働時間(20時間以上か)が目安になっています。
- 手取りと保障の変化を試算する厚生労働省の特設サイトで、手取り額や将来の年金額を試算できます。
- わからない点はチャットボットや勤め先に聞くねんきんチャットボットは、保険料調整制度の対象や軽減額、特定減額特例対象者の扱いなどの質問に答えるとしています。
- 家族の健康保険の扶養に入れるかの目安(年収130万円未満など)は、今回の撤廃とは別のルールです。
- 保険料調整制度は、事業主が申し出た事業所だけで使われます。勤め先が使っているかは勤め先に確認が必要です。
- 健康保険組合に入っている場合、健康保険料の軽減額は各組合に問い合わせるよう案内されています。
まとめ
- 2026年10月1日、社会保険の「所定内賃金が月額8.8万円以上」の要件が撤廃された
- 今は、従業員数51人以上の企業で週20時間以上・学生ではない人などが対象。規模の要件は2027年10月から2035年10月にかけて段階的に広がる
- 新たに対象になる事業所は、保険料調整制度で本人の保険料負担を通算3年間軽くできる(事業主が申出)
- まずは勤め先が対象か、契約上の週の労働時間が20時間以上かを確かめる
税金と扶養も含めた全体像は年収の壁とはで整理しています。社会保険料が引かれるようになったら給与明細の見方、副業の収入がある人は副業の税金の基本もあわせてどうぞ。
出典・参考にした情報
- 日本年金機構「2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました」(2026年10月1日更新)と、同ページのリーフレット
- 日本年金機構「2026(令和8)年10月に施行された健康保険・厚生年金保険の「保険料調整制度」および「賃金要件の撤廃」を案内するチャットボットを開設しました」(2026年10月1日更新)
- 日本年金機構「保険料調整制度のご案内」と関連ページ、「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」
- 厚生労働省「社会保険適用拡大 特設サイト」
- いずれも2026年11月8日確認
【ご注意】この記事は2026年11月8日時点の発表をもとにした一般的な説明で、個別の社会保険・税務の相談ではありません。加入の対象になるか、保険料がいくらになるかは、勤め先や働き方、加入する健康保険によって変わります。ご自身のケースは勤め先や日本年金機構の案内で確認してください。

