この記事は、国税庁・厚生労働省・日本年金機構の公式情報をもとに編集部がまとめた一般的な説明です。広告は含みません。情報は2026年10月30日に確認したものです。
- 「103万円の壁」はもうない税制改正で、給与だけの人が所得税を払わずにすむ年収は、令和7年分で160万円、令和8年分・9年分で178万円になりました。
- 「106万円の壁」は2026年10月に撤廃社会保険の「月8.8万円以上」の要件がなくなり、勤め先の規模などを満たすと、週20時間以上で加入の対象になります。
- 「130万円の壁」は残っている家族の扶養(健康保険)に入れる収入の目安は年130万円未満です。19歳以上23歳未満は150万円未満に引き上げられています。
パートやアルバイトで働く人、大学生の子どもがいる家庭では、「年収をいくらまでにおさえればいいの?」という「年収の壁」が気になると思います。ここ数年で税金と社会保険のルールが大きく変わり、「103万円」「106万円」といった、これまでよく聞いた数字は当てはまらなくなっています。
この記事では、2026年10月時点で決まっている内容を、公式の情報をもとにやさしく整理します。副業の税金については副業の税金の基本もあわせて読んでください。
「年収の壁」は2種類ある
「年収の壁」と呼ばれるものは、大きく税金の壁と社会保険の壁に分かれます。
| 種類 | 何が起きる? | 主な壁 |
|---|---|---|
| 税金(所得税)の壁 | 本人に所得税がかかり始める/家族(親・配偶者)の控除が減る | 160万円(令和7年分)、178万円(令和8・9年分)、親の扶養控除、配偶者控除 |
| 社会保険の壁 | 自分で健康保険・厚生年金に入る/家族の扶養から外れる | 週20時間(旧106万円)、130万円 |
税金の壁はこえても手取りが急に大きく減ることは少ないのに対し、社会保険の壁は保険料の負担が生じるため、こえると手取りが目に見えて変わることがあります。
本人の所得税の壁:160万円・178万円
給与だけの人の所得税は、給与の収入 - 給与所得控除 - 基礎控除などで計算します。この2つの控除が税制改正で大きく引き上げられました。
| 年分 | 給与所得控除(最低額) | 基礎控除(所得が低い人) | 所得税がかからない給与の目安 |
|---|---|---|---|
| 令和6年分まで | 55万円 | 48万円 | 103万円 |
| 令和7年分 | 65万円 | 95万円 | 160万円 |
| 令和8年分・9年分 | 74万円 | 104万円 | 178万円 |
※出典:国税庁 タックスアンサー No.1410「給与所得控除」、No.1199「基礎控除」(2026年10月30日確認)。給与のほかに収入がない人で、社会保険料控除などを考えない場合の目安です。令和10年分以後は金額がまた変わる予定です。
令和8年度の改正は令和8年12月1日に施行され、令和8年分の所得税から適用されます。会社員やパートの人は、12月の年末調整で反映されるのが基本です(国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」)。
住民税は所得税とは別のルールで計算されるため、所得税がかからない年収でも住民税がかかることがあります。基準は自治体によって異なるので、お住まいの市区町村で確認してください。
親の扶養控除の壁(学生の子ども)
子どもがアルバイトをしている場合、子どもの収入によって親が受けられる控除が変わります。
| 子どもの給与収入(令和8年分の目安) | 親が受けられる控除 |
|---|---|
| 136万円以下 | 扶養控除(19歳以上23歳未満は特定扶養控除) |
| 136万円超 197万円以下(19歳以上23歳未満) | 特定親族特別控除(収入が増えると控除額が段階的に減る) |
| 197万円超 | 控除なし |
※出典:国税庁 タックスアンサー No.1180「扶養控除」、No.1177「特定親族特別控除」(2026年10月30日確認)。扶養親族の所得要件は令和8年分から合計所得金額62万円以下です。給与収入の金額は、給与所得控除74万円を足した目安です。
特定親族特別控除とは
令和7年分から新しくできた控除です。19歳以上23歳未満の子どもなどの合計所得金額が扶養控除の基準をこえても、123万円以下(給与収入で令和8年分は197万円以下)なら、親は収入に応じた控除を受けられます。
| 子どもの合計所得金額 | 親の控除額 |
|---|---|
| 62万円超 85万円以下 | 63万円 |
| 85万円超 90万円以下 | 61万円 |
| 90万円超 100万円以下 | 51万円〜41万円 |
| 100万円超 120万円以下 | 31万円〜6万円 |
| 120万円超 123万円以下 | 3万円 |
※出典:国税庁 タックスアンサー No.1177(令和8年分以後の額、2026年10月30日確認)。5万円刻みで控除額が変わります。
以前のように「103万円をこえたら親の控除が一気にゼロ」ではなく、少しずつ減るしくみになったのが大きな変化です。
配偶者控除・配偶者特別控除の壁
夫や妻がパートで働いている場合、その収入によってもう一方が受けられる控除が変わります。
| 配偶者の合計所得金額(令和8年分) | 給与収入の目安 | 受けられる控除 |
|---|---|---|
| 62万円以下 | 136万円以下 | 配偶者控除(最高38万円) |
| 62万円超 95万円以下 | 136万円超 169万円以下 | 配偶者特別控除(満額38万円) |
| 95万円超 133万円以下 | 169万円超 207万円以下 | 配偶者特別控除(段階的に減る) |
※出典:国税庁 タックスアンサー No.1191「配偶者控除」、No.1195「配偶者特別控除」(2026年10月30日確認)。控除を受ける本人の合計所得金額が900万円以下の場合の額です(1,000万円をこえると受けられません)。給与収入は給与所得控除74万円を足した編集部の目安です。
勤め先によっては、配偶者の年収を条件に家族手当(配偶者手当)を出しているところがあります。基準は会社ごとにちがうので、就業規則などで確認しましょう。
社会保険の壁①:「106万円の壁」は撤廃された
パートやアルバイトでも、条件を満たすと勤め先の健康保険・厚生年金に加入します。これまでは「月額8.8万円以上(年収約106万円)」という賃金の要件がありましたが、日本年金機構によると、この要件は2026年10月1日に撤廃されました。
| 加入の条件(2026年10月1日時点) | 内容 |
|---|---|
| 賃金 | 要件なし(撤廃) |
| 労働時間 | 週の所定労働時間が20時間以上 |
| 勤め先の規模 | 従業員数51人以上の企業 |
| 学生かどうか | 学生ではないこと |
※出典:日本年金機構「2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました」(2026年10月30日確認)。勤め先の規模の要件は、2027年10月以降に段階的に広がる予定です。
つまり今は、「年収」ではなく「週20時間」が目安になっています。社会保険に入ると保険料の分だけ手取りは減りますが、将来の年金が増え、病気やけがで休んだときの手当(傷病手当金)なども受けられるようになります。
社会保険の壁②:「130万円の壁」
勤め先の社会保険に入らない場合、家族(会社員の夫・妻・親など)の健康保険の扶養(被扶養者)に入れるかどうかが問題になります。目安は年間収入130万円未満です。これをこえると扶養から外れ、自分で国民健康保険・国民年金に入る必要があります。
- 19歳以上23歳未満は150万円未満:扶養に入れる年間収入の要件が引き上げられています(配偶者は除く)。
- 一時的に130万円をこえた場合:人手不足で労働時間がのびたなど一時的な増収なら、事業主の証明があれば、原則として連続2回まで扶養に入り続けられます。
- 労働契約の内容で判断:労働契約の基本給や手当から見込まれる年間収入が130万円未満なら、原則として被扶養者として扱われます。
※出典:厚生労働省「年収の壁への対応」(2026年10月30日確認)。くわしい基準は、家族が加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など)に確認してください。
結局いくらまで働けばいい?考え方のヒント
- まず社会保険を確認する勤め先の規模と週の労働時間で、自分が社会保険に入る対象かどうかを確認します。手取りへの影響が大きいのはこちらです。
- 扶養の130万円(150万円)を確認する勤め先の保険に入らない場合は、家族の扶養に入れる収入かを確認します。
- 税金の壁は「少しずつ」と考える本人の所得税や家族の控除は、こえても少しずつ変わるしくみが多くなっています。
- 迷ったら勤め先・保険者に聞く会社の家族手当や健康保険の基準は、それぞれで異なります。
「壁をこえないように働く時間をおさえる」より、「こえるなら大きくこえて手取りを増やす」ほうが合う人もいます。働き方や家族の状況によって答えはちがうので、手取りで比べて考えましょう。
よくある質問
2026年にアルバイトで150万円かせぐと、所得税はかかりますか?
大学生の子どもが150万円かせぐと、親の控除はなくなりますか?
「106万円の壁」はもう気にしなくていいですか?
副業の収入も年収の壁に入りますか?
まとめ
- 本人の所得税がかからない給与の目安は、令和7年分160万円、令和8・9年分178万円
- 親の扶養控除は子どもの給与136万円以下、19〜22歳は197万円以下まで特定親族特別控除がある
- 106万円の賃金要件は2026年10月1日に撤廃。今は週20時間以上などで社会保険に加入する
- 健康保険の扶養は130万円未満(19歳以上23歳未満は150万円未満)が目安
- 住民税・家族手当は基準が別なので、自治体や勤め先で確認する
在宅で収入を増やしたい人は、在宅でできる副業の始め方も参考にしてください。
出典・参考にした情報
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
- 国税庁 タックスアンサー No.1199 基礎控除、No.1410 給与所得控除
- 国税庁 タックスアンサー No.1180 扶養控除、No.1177 特定親族特別控除
- 国税庁 タックスアンサー No.1191 配偶者控除、No.1195 配偶者特別控除
- 日本年金機構「2026(令和8)年10月に社会保険の短時間労働者に係る賃金要件が撤廃されました」
- 厚生労働省「年収の壁への対応」
- いずれも2026年10月30日確認
【ご注意】一般的な説明で、個別の税務・社会保険の相談ではありません。実際の税金や保険料は、収入の内容、家族の状況、勤め先や加入している健康保険によって変わります。ご自身のケースは、勤め先、税務署、お住まいの市区町村、加入している健康保険に確認してください。

