生活防衛資金はいくら必要?|目安の考え方・計算のしかた・置き場所

生活防衛資金はいくら必要?|目安の考え方・計算のしかた・置き場所

この記事は、総務省・厚生労働省・預金保険機構などの公式情報をもとに編集部がまとめた一般的な説明です。広告は含みません。情報は2026年10月30日に確認したものです。

先に結論:生活防衛資金の考え方
  • 「毎月の生活費 × 何か月分」で考えるまず自分の1か月の生活費を出し、収入が止まったときに何か月しのげるかで金額を決めます。
  • 働き方や家族の状況で必要な月数はちがう会社員は公的な保障があるぶん少なめ、自営業・フリーランスや家族が多い人は多めに考えるのが基本です。
  • 置き場所は「すぐ引き出せて、減らない」ところ普通預金などに分けて置きます。投資に回すのは、このお金を確保してからです。

「投資を始めたいけれど、手元にいくら残しておけばいいの?」と迷う人は多いと思います。そこで出てくるのが生活防衛資金という考え方です。

生活防衛資金とは、病気やけが、失業などで収入が減ったときや、急な出費があったときに、生活を守るためのお金のことです。法律などで決まった言葉ではありませんが、お金の準備の土台になります。この記事では、金額の考え方と置き場所を、公的なデータや制度をもとに整理します。

生活防衛資金が必要な理由

生活をしていると、思いがけない出来事が起こります。

  • 病気やけがで働けなくなり、収入が減る
  • 会社の都合や自分の都合で仕事をやめ、次の仕事まで収入がない
  • 家電や車の故障、家の修理、冠婚葬祭など、まとまった出費がある

こうしたときに手元にお金がないと、カードローンなどで借りる、値下がりしている投資を売ってしまうといったことになりかねません。生活防衛資金は、そうならないための「クッション」です。

ポイント

NISAなどで投資を始める前に生活防衛資金を用意しておくと、相場が下がったときにもあわてて売らずにすみます。NISAについてはNISAのしくみと始め方で解説しています。

まずは1か月の生活費を出す

生活防衛資金を考える出発点は、自分の家の1か月の生活費です。参考として、総務省の家計調査(2025年平均)では、1か月の消費支出は次のとおりです。

世帯1か月の消費支出(2025年平均)
二人以上の世帯314,001円
二人以上の世帯のうち勤労者世帯346,297円

※出典:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果」(2026年10月30日確認)。二人以上の世帯の平均世帯人員は2.87人です。

ただし、生活費は住んでいる地域、家族の人数、住まいが持ち家か賃貸かなどで大きく変わります。平均はあくまで参考にして、自分の家の数字を出しましょう。

生活費の出し方

  1. 直近2〜3か月の支出を集める家計簿アプリ、銀行口座やクレジットカードの明細から、1か月に出ていったお金を合計します。
  2. 毎月かならずかかるお金を分ける家賃・住宅ローン、水道光熱費、通信費、保険料、食費など、収入が減っても払い続けるお金を出します。
  3. 年に数回の出費も月割りにする自動車税、帰省、年払いの保険料などは、1年分を12で割って足します。

この「最低限かかる1か月のお金」が、生活防衛資金の計算のもとになります。

何か月分あればいい?働き方別の考え方

よく「生活費の3か月〜6か月分」「1年分」などといわれますが、決まった正解はありません。収入が止まったときに、公的な保障などでどれくらいカバーできるかで考えるのがおすすめです。

こんな人考え方
会社員・公務員(共働き)収入が2つあり、傷病手当金や失業給付もあるので、少なめでも対応しやすい
会社員・公務員(片働き・子どもあり)収入が1つなので、そのぶん多めに考える
自営業・フリーランス傷病手当金や失業給付がない場合が多いので、多めに考える
近いうちに大きな出費がある出産、引っ越し、車の買い替えなど、予定している出費は生活防衛資金とは別に用意する

※月数の考え方は編集部の整理です。家族の状況に合わせて調整してください。

収入が止まったときの公的な保障

会社員などには、収入が止まったときに使える公的な制度があります。どれくらい受け取れるかを知っておくと、必要な生活防衛資金の目安がつけやすくなります。

病気やけがで働けないとき:傷病手当金

勤め先の健康保険に入っている人は、病気やけがで仕事を休み、給料が出ないときに傷病手当金を受け取れます。支給額は、おおむね給料(標準報酬月額をもとにした額)の3分の2で、支給期間は通算1年6か月です(全国健康保険協会)。連続して3日休んだあと、4日目から支給されます。

仕事をやめたとき:雇用保険の基本手当

雇用保険に入っていた人は、仕事をやめたあと、条件を満たすと基本手当(いわゆる失業手当)を受け取れます。自分の都合でやめた場合は、7日間の待期期間のあと、原則1か月の給付制限があります(2025年4月から2か月→1か月に短縮)。

注意
  • 自営業・フリーランスの人が入る国民健康保険には、原則として傷病手当金がありません。雇用保険の基本手当もありません。
  • 手当は申請してから振り込まれるまで時間がかかります。その間の生活費は手元のお金でまかなう必要があります。

※出典:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」、厚生労働省・ハローワーク「基本手当について」(2026年10月30日確認)。くわしい条件は加入している健康保険・ハローワークで確認してください。

医療費や入院にそなえる保険を見直したい人は、保険・お金の無料相談サービス比較も参考にしてください。

生活防衛資金の置き場所

生活防衛資金は「いざというときにすぐ使えること」と「減らないこと」が大事です。

置き場所すぐ使える?減らない?向いているか
普通預金◎ いつでも引き出せる◎ 元本は減らない向いている
定期預金○ 解約すれば使える◎ 元本は減らない一部を置くのはよい
株・投資信託△ 売って現金になるまで数日かかる× 値下がりすることがある向いていない
外貨預金○× 為替で円の価値が変わる向いていない

ふだん使う口座とは別の口座に分けておくと、うっかり使ってしまうのを防げます。毎月決まった額を自動で移すしくみは、先取り貯金のやり方で紹介しています。

預金保険制度で守られる範囲

万が一、預けている銀行が破たんしたときは、預金保険制度で預金が守られます。

預金の種類守られる範囲
利息のつかない決済用預金(当座預金など)全額
普通預金・定期預金など1つの金融機関ごとに、預金者1人あたり元本1,000万円までと、その利息など
外貨預金など保護の対象外

※出典:預金保険機構「預金保険制度の概要」(2026年10月30日確認)

生活防衛資金が1,000万円をこえることはあまりありませんが、ほかの預金と合わせて1つの銀行に1,000万円以上ある場合は、口座を分けることも考えましょう。

生活防衛資金のため方

  1. 目標の金額を決める1か月の生活費 × 必要な月数で、目標を出します。
  2. 専用の口座をつくるふだんの口座と分けて、生活防衛資金だけを入れます。
  3. 給料日に先に移す余ったら貯めるのではなく、給料が入ったら先に決まった額を移します。
  4. ボーナスで一気に近づけるボーナスの一部を入れると、目標に早く届きます。使い道の考え方はボーナスの使い道でまとめています。
  5. 使ったら元に戻す生活防衛資金を使ったときは、また少しずつ元の金額に戻します。

収入を少し増やしたい人は、ポイントサイトの選び方や在宅でできる副業の始め方も参考にしてください。

よくある質問

生活防衛資金がたまるまで、投資はしないほうがいいですか?
決まったルールはありませんが、急な出費のたびに投資を売ることにならないよう、まず生活防衛資金を用意してから投資に回すのが基本的な考え方です。少しずつ両方を進める方法もあります。
生活防衛資金は定期預金に入れてもいいですか?
定期預金は元本が減らず、解約すればお金を引き出せます。すぐ使う分は普通預金、残りを定期預金のように分けるのも一つの方法です。
一人暮らしならいくらくらい必要ですか?
平均ではなく、自分の1か月の生活費をもとに考えるのがおすすめです。家賃などの毎月かならずかかるお金を出して、何か月分用意するかを決めましょう。
生活防衛資金とは別に貯めておくお金はありますか?
出産、進学、車の買い替えなど、時期がわかっている出費は、生活防衛資金とは別に用意しておくと安心です。

まとめ

  • 生活防衛資金は、病気・失業・急な出費のときに生活を守るためのお金
  • 金額は「1か月の生活費 × 必要な月数」で考える
  • 会社員は傷病手当金や失業給付があるので少なめ、自営業・フリーランスは多めに
  • 置き場所は普通預金など、すぐ使えて減らないところ。口座を分けると使いすぎを防げる
  • 預金は1金融機関・1人あたり元本1,000万円とその利息などまで守られる

出典・参考にした情報

  • 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果」
  • 全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」
  • 厚生労働省・ハローワーク「基本手当について」、雇用保険の給付制限期間の見直し(2025年4月)
  • 預金保険機構「預金保険制度の概要」
  • いずれも2026年10月30日確認

【ご注意】一般的な説明で、個別のお金の相談ではありません。必要な金額は、収入、家族の状況、住まい、加入している保険などによって変わります。公的な給付の条件は、加入している健康保険やハローワークで確認してください。