開業届とは|副業で出すメリット・注意点と出し方をやさしく解説

開業届とは|副業で出すメリット・注意点と出し方をやさしく解説

この記事にはプロモーション(広告)を含みます。内容は国税庁・財務省の公式情報と各サービスの公式サイトをもとに編集部がまとめたもので、広告の有無で内容は変えていません。情報は2026年10月30日(会計ソフトの紹介は11月2日)に確認したものです。

先に結論:開業届で押さえたい3つ
  • 開業届は「事業を始めました」という税務署への届け出正式名は「個人事業の開業・廃業等届出書」。出すのにお金はかかりません。
  • 副業で出す一番の理由は青色申告青色申告をするには、別に「青色申告承認申請書」を期限までに出す必要があります。
  • 出す前に影響を確認する開業届を出しても、副業の所得が自動的に「事業所得」になるわけではありません。失業手当や扶養への影響も確かめましょう。

副業を続けていると、「開業届を出したほうがいいの?」と気になる人も多いと思います。この記事では、開業届のしくみ・メリット・注意点・出し方を、国税庁のタックスアンサー No.2090「新規に事業を始めたときの届出など」などをもとにまとめます。副業の税金の基本は、先に副業の税金の基本を読むとわかりやすいです。

開業届とは

開業届は、個人で新しく事業を始めたときに、納税地の所轄税務署に出す届け出です。正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。

正式名個人事業の開業・廃業等届出書
出す人新たに事業所得・不動産所得・山林所得を生じる事業を始めた人
出す先納税地(ふつうは住所地)の所轄税務署
提出期限事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで
費用かかりません

※出典:国税庁 タックスアンサー No.2090(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月30日確認)

副業で開業届を出すメリット

1. 青色申告ができるようになる

開業届とあわせて「所得税の青色申告承認申請書」を出すと、青色申告ができます。青色申告には、主に次のような特典があります(国税庁 No.2070「青色申告制度」)。

  • 青色申告特別控除:所得から最高65万円(令和8年分まで)を差し引ける
  • 赤字の繰り越し:事業の赤字(純損失)を翌年以後3年間繰り越せる
  • 家族への給与:届け出をすれば、一緒に働く家族への給与を必要経費にできる(青色事業専従者給与)

2. 屋号で銀行口座などを作りやすくなる

開業届の控えは、屋号つきの口座を作るときなどに、事業をしていることを示す書類として求められることがあります。必要な書類は金融機関によって異なります。

出す前に知っておきたい注意点

注意
  • 事業所得になるとは限らない:副業の所得が事業所得か雑所得かは、開業届の有無ではなく、その活動が「社会通念上事業と称するに至る程度」かどうかなどで判断されます(所得税基本通達35-2)。
  • 失業手当(基本手当):会社を辞めて失業手当を受けている間に開業届を出すと、受け取れなくなる場合があります。ハローワークに確認してください。
  • 扶養:配偶者などの扶養に入っている人は、健康保険の扶養の判断に影響する場合があります。扶養の判断は加入している健康保険によって異なるので、保険者に確認しましょう。
  • 会社の規則:副業が認められているかは、会社の就業規則で確認しましょう。

扶養と収入の関係は年収の壁とはで整理しています。

青色申告承認申請書の期限

青色申告をしたい場合は、開業届とは別に青色申告承認申請書を出します。期限を過ぎると、その年は白色申告になるので注意しましょう。

ケース提出期限
原則青色申告をしようとする年の3月15日まで
その年の1月16日以後に新しく事業を始めた事業を始めた日から2か月以内

※出典:国税庁 タックスアンサー No.2090(2026年10月30日確認)

開業届と青色申告承認申請書は、同時に出すと手間が少なくすみます。

青色申告特別控除と令和9年分からの見直し

青色申告特別控除の金額は、帳簿のつけ方や申告のしかたで変わります。

控除額(令和8年分まで)主な条件
65万円複式簿記で記帳し、貸借対照表などを添付して期限内に申告。さらにe-Taxで申告するか、優良な電子帳簿の保存をする
55万円複式簿記で記帳し、貸借対照表などを添付して期限内に申告(e-Taxなどの条件を満たさない場合)
10万円上の条件を満たさない青色申告者(簡易な帳簿など)
令和9年分からの見直し(令和8年度税制改正)

財務省・国税庁の資料によると、令和9年分以後は、複式簿記による控除はe-Taxでの申告が条件になり、優良な電子帳簿の保存などをした場合は上限が75万円に引き上げられます。また、簡易な帳簿による10万円控除は、前々年の収入が1,000万円以下の人などに限られます。くわしい要件は国税庁の最新の案内で確認してください。

※出典:財務省「令和8年度改正関係資料」、国税庁 No.2070(2026年10月30日確認)

青色申告の帳簿づけには会計ソフトが便利

65万円(令和9年分からは条件により75万円)の控除を受けるには、複式簿記での記帳とe-Taxでの申告などが必要です。複式簿記に慣れていない人は、取引を入力すると帳簿や決算書を作ってくれる会計ソフトを使うと続けやすくなります。白色申告で始める人にも、無料で使えるソフトがあります。

ソフト料金の目安(個人向け)主な特長
やよいの白色申告 オンラインフリープランはずっと無料白色申告向け。e-Taxで提出でき、スマホアプリで取引を入力できる。青色申告向けの「やよいの青色申告 オンライン」は1年間無料のキャンペーンあり(条件あり)
マネーフォワード クラウド確定申告パーソナルミニ:年払いで月900円、月払いで月1,280円(税抜)青色・白色の申告書を作成し、電子申告できる。1か月の無料トライアルあり(1事業者1回、有料プランへ自動では移らない)。2026年12月に料金体系の一部改定を予定
freee会計スターター:年払い11,760円、月払い1,780円(税抜・Web版)銀行やカードの明細を取り込んで帳簿をつけ、確定申告書まで作れる。アプリから契約すると料金が異なる

※出典:弥生「確定申告ソフト」、マネーフォワード クラウド確定申告「料金プラン」、freeeヘルプ「【個人】freee会計のプランについて」(2026年11月2日確認)。料金や無料の条件は変わることがあります。

開業届の出し方

  1. 書く内容を決める職業(例:ライター、Webデザイナー)、屋号(なくてもかまいません)、開業日、事業の概要などを決めます。
  2. 届出書を作る国税庁のホームページから様式をダウンロードするか、e-Taxや国税庁の「開業・廃業等届出書作成コーナー」で作れます。
  3. 青色申告承認申請書も一緒に作る青色申告をしたい場合は、同時に作ると便利です。
  4. 提出するe-Tax、郵送、税務署の窓口のいずれかで出します。マイナンバーの記載と本人確認書類が必要です。
  5. 控えを保管するe-Taxなら受信通知を、紙なら控えを保管しておきます。

書くときのポイント

項目書き方の目安
職業「ライター」「Webデザイナー」「イラストレーター」など、仕事の内容がわかる名前を書きます
屋号お店やサービスの名前があれば書きます。なければ空欄でかまいません
開業日事業を始めた日を書きます。はっきり決まっていなければ、最初の仕事を受けた日などを目安にします
事業の概要「Webサイトの記事作成」「ロゴ・バナーのデザイン制作」など、具体的に書きます
所得の種類事業所得・不動産所得などから当てはまるものを選びます
給与等の支払の状況人を雇って給与を払う予定がなければ、空欄で出すのが一般的です

書き方に迷う項目は、税務署に問い合わせると教えてもらえます。

申告をスマホで行う流れは確定申告のやり方(スマホとe-Tax)でまとめています。

よくある質問

副業の収入が少なくても開業届は出せますか?
出せます。ただし、開業届を出しただけで事業所得として扱われるわけではありません。継続して事業としての実態があるかが大切です。
開業届を出さないと罰則はありますか?
罰則の定めはありませんが、届け出は所得税法で求められています。青色申告をしたい場合は、承認申請書の期限にも注意しましょう。
開業届を出すと税金が増えますか?
開業届を出しただけで税金が増えることはありません。税金は、1年間の所得をもとに計算されます。青色申告にすれば、青色申告特別控除などで所得を少なくできる場合があります。ただし、帳簿づけの手間は増えるので、続けられるかも考えておきましょう。
会社にばれますか?
開業届が税務署から会社に伝わるしくみはありません。ただし、住民税の通知などから副業がわかることがあります。くわしくは副業の税金の基本をご覧ください。
インボイスの登録も必要ですか?
開業届とインボイス(適格請求書発行事業者)の登録は別の手続きです。必要かどうかは、取引先との関係で変わります。副業とインボイス制度で整理しています。

まとめ

  • 開業届は、個人で事業を始めたときに税務署に出す届け出で、費用はかからない
  • 副業で出す主な理由は青色申告。承認申請書は原則3月15日まで(1月16日以後に開業したら2か月以内)
  • 開業届を出しても、事業所得になるとは限らない
  • 失業手当・扶養・会社の規則への影響を先に確認する
  • 令和9年分から青色申告特別控除の要件が見直される

出典・参考にした情報

  • 国税庁 タックスアンサー No.2090 新規に事業を始めたときの届出など
  • 国税庁 タックスアンサー No.2070 青色申告制度
  • 国税庁 所得税基本通達35-2
  • 財務省「令和8年度改正関係資料」
  • いずれも2026年10月30日確認
  • 弥生、マネーフォワード クラウド確定申告、freee会計の公式サイト・ヘルプ(2026年11月2日確認)

【ご注意】一般的な説明で、個別の税務相談ではありません。所得の区分や青色申告の要件は、事業の内容や法改正によって変わります。ご自身のケースについては、税務署や税理士に相談してください。