この記事は、国税庁の情報をもとに編集部がまとめた一般的な説明です。広告は含みません。情報は2026年10月30日に確認したものです。
- 登録するかどうかは自分で選べる売上が1,000万円以下なら、ふつうは消費税の申告がいらない「免税事業者」。登録しなければ今のままです。
- 登録すると消費税の申告が必要になるインボイス発行事業者になると課税事業者になり、売上が少なくても毎年消費税の申告と納付が必要です。
- 負担を軽くする特例がある個人は令和8年分まで「2割特例」、令和9年分・10年分は「3割特例」で、納める消費税を売上の消費税の2割・3割にできます。
2023年10月にはじまったインボイス制度。副業でイラストや文章、デザインなどの仕事を受けている人の中には、「取引先から登録番号を聞かれた」「自分も登録しないといけないの?」と迷う人もいると思います。この記事では、副業をしている会社員がインボイスとどう向き合うかを、国税庁の情報をもとにまとめます。
副業の所得税・住民税の基本は副業の税金の基本で説明しています。
インボイス制度とは
インボイス(適格請求書)は、登録番号や消費税率・消費税額などが書かれた請求書や領収書です。仕事を発注する側(買い手)は、原則としてインボイスを受け取って保存しておかないと、払った消費税を自分の消費税から差し引くこと(仕入税額控除)ができません。
インボイスを出せるのは、税務署に登録した「インボイス発行事業者」だけです。国税庁は、インボイス発行事業者として登録を受けると、課税事業者として消費税の申告が必要になると案内しています。
副業の人はそもそも消費税を納めている?
個人の場合、前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として消費税を納める義務が免除されます(免税事業者)。ただし、前年の1月1日〜6月30日(特定期間)の課税売上高が1,000万円をこえる場合などは、免除されません(国税庁 タックスアンサー No.6501)。
副業の売上が1,000万円をこえる人は多くないので、多くの副業の人は免税事業者です。免税事業者は、インボイスに登録しなければ、これまでどおり消費税の申告はいりません。
ここでいう「売上」は副業の売上です。会社からもらう給与は消費税の課税売上には入りません。
登録を考えたほうがいいケース
登録は義務ではありません。登録するかどうかは、取引先や仕事の内容によって考えます。
| 状況 | 考え方 |
|---|---|
| 取引先が会社(課税事業者)で、インボイスを求められている | 登録しないと、取引先の消費税の負担がふえるため、取引の条件の相談が必要になることがある |
| 取引先が一般の個人(消費者)中心 | 相手はインボイスを使わないので、登録の必要性は低いことが多い |
| 仲介サイト経由の仕事 | サイトの規約や、誰が取引の相手になるかを確認する |
| 売上がとても少ない | 登録すると申告の手間が毎年かかるので、メリットと手間をくらべる |
取引先がインボイス発行事業者でないことだけを理由に、一方的に報酬を下げることは、独占禁止法などで問題になるおそれがあると、公正取引委員会などが注意をよびかけています。条件はよく話し合って決めましょう。
2割特例と3割特例
免税事業者からインボイス発行事業者になった人には、消費税の負担を軽くする特例があります。
| 特例 | 対象 | 使える期間 | 納める消費税 |
|---|---|---|---|
| 2割特例 | 免税事業者からインボイス発行事業者になった事業者 | 令和8年9月30日を含む課税期間まで(個人は令和8年分まで) | 売上にかかる消費税の2割 |
| 3割特例 | 免税事業者からインボイス発行事業者になった個人事業者(法人は不可) | 令和9年分・令和10年分 | 売上にかかる消費税の3割 |
※出典:国税庁「インボイス制度に関する令和8年度税制改正特集」(2026年10月30日確認)。3割特例は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であることなどが条件です(令和9年分は令和7年、令和10年分は令和8年が基準期間)。
計算の例
副業の売上が税込み55万円(消費税10%)の場合、売上にかかる消費税は5万円です。
- 2割特例:5万円×20%=1万円を納める
- 3割特例:5万円×30%=1.5万円を納める
※わかりやすくした計算例です。実際の計算は国税庁の確定申告書等作成コーナーなどで行います。
また、2割特例・3割特例を使った翌年から簡易課税を選ぶ場合は、その年の申告期限までに届出書を出せばよい、という移行の措置もあります(例:令和10年分に3割特例を使い、令和11年分から簡易課税にするなら、届出の期限は令和12年4月1日まで)。
取引先(買い手)側の経過措置
インボイスに登録していない人(免税事業者など)から仕入れた場合でも、買い手は一定の割合を控除できる経過措置があります。令和8年度の改正で、割合と期間が次のように見直されました。
| 期間 | 控除できる割合 |
|---|---|
| 令和5年10月1日〜令和8年9月30日 | 80% |
| 令和8年10月1日から2年間 | 70% |
| 令和10年10月1日から2年間 | 50% |
| 令和12年10月1日から1年間 | 30% |
| 令和13年10月1日以降 | 0%(控除できない) |
※出典:国税庁「インボイス制度に関する令和8年度税制改正特集」(2026年10月30日確認)
取引先から登録について聞かれたときは、この割合も参考にしながら、取引の条件を話し合うことになります。
登録するときの手続き
- 取引先と相談する登録が必要か、登録しない場合の条件はどうなるかを確認します。
- 登録申請書を出す国税庁の案内にしたがって、e-Taxなどで登録申請をします。
- 登録番号を取引先に伝え、インボイスを出す登録番号・税率・税額などを書いた請求書を出します。
- 毎年、消費税の申告をする所得税の確定申告とあわせて、消費税の申告・納付をします。2割特例・3割特例は申告書で選びます。
確定申告の進め方はスマホとe-Taxで副業の申告をする手順も参考にしてください。開業届については開業届とはでまとめています。
登録する・しないで変わること
| 登録しない(免税事業者のまま) | 登録する(インボイス発行事業者) | |
|---|---|---|
| 消費税の申告 | 不要(売上1,000万円以下などの場合) | 毎年必要 |
| インボイスの発行 | できない | できる。取引先(課税事業者)から求められたら交付する |
| 書類の保存 | 所得税のための帳簿・書類の保存 | 上に加えて、交付したインボイスの写しの保存 |
| 取引先への影響 | 取引先は経過措置の割合(70%など)しか控除できない | 取引先は原則どおり控除できる |
| 手取り | 消費税の納付がないぶん変わらない | 納める消費税のぶん減る(2割・3割特例で軽くできる) |
迷ったら、まず取引先が会社か一般の個人か、取引先が登録を求めているかを確認しましょう。登録しないと決めた場合も、取引先には早めに伝えて、請求のしかたをそろえておくとトラブルを防げます。
登録するかどうかにかかわらず、副業の所得が年20万円をこえる会社員は、所得税の確定申告が必要です(給与1か所・年末調整済みの場合)。インボイスと所得税の申告は別のものとして考えましょう。
よくある質問
副業の会社員でもインボイスに登録できますか?
登録しないと仕事がなくなりますか?
登録をやめることはできますか?
まとめ
- 副業の売上が1,000万円以下なら、多くの人は免税事業者
- インボイスの登録は任意。登録すると毎年消費税の申告が必要になる
- 取引先が会社か一般の個人か、仕事の内容で登録を考える
- 個人は令和8年分まで2割特例、令和9年分・10年分は3割特例が使える
- 買い手側の控除は令和8年10月から70%、その後50%・30%と段階的に下がる
出典・参考にした情報
- 国税庁「インボイス制度に関する令和8年度税制改正特集」
- 国税庁「インボイス制度の概要」
- 国税庁 タックスアンサー No.6501 納税義務の免除
- いずれも2026年10月30日確認
【ご注意】一般的な説明で、個別の税務相談ではありません。インボイスの登録や消費税の計算は、取引の内容や売上の状況によって変わります。ご自身のケースは税務署や税理士に相談してください。

